汚れた英雄 [映画]
大藪春彦の同名小説を草刈正雄主演で映画化した作品。
小説では、恵まれない環境に育った主人公が二輪ライダーとしての技術はもとより、天性の美貌と肉体を武器に上流社会の女性たちをパトロンにしてレースで成り上がっていく若きライダーを描いている。
しかし、映画ではライダーとして成功した所から始まっているので原作の良さを少しも活かしていないが、撮影のためにサーキットを借り切ってレースさながらの撮影をしたり、ワンショットだけのピアニストに世良譲を起用したり、とにかく贅沢に撮られている。
監督は角川春樹で初監督作品。
若き草刈正雄をひたすらかっこよく撮ろうとした映画、まあそれだけ。
エンディングもすっきりしない。
小説とは全く別物で、内容や人物描写はペラッペラだが、バイクシーンは迫力がある。
ライディングスタントは、当時ヤマハの若手レーサーだった平忠彦が担当していたことで話題になった。
後年、平忠彦はヤマハのワークスライダーに昇格し、3年連続全日本チャンピオンを獲得し、海外のレースでも優勝するほど成長した。
タイトルバックで主人公がバイクにまたがる姿が最高に美しい。
